コミックス感想:『Mister Miracle』


『Mister Miracle』とは

『Mister Miracle』は2017年から全12話で連載されました。

ライターはバットマンのメインライターとして知られるトム・キング。
アーティストはバットマンやヒーローズインクライシスなどに参加しているミッチ・ジェラッズ。

本作はアイズナー賞において、ベストライター/ベストアーティストを受賞しています。

翻訳版も2020年に発売されています。

そもそもミスターミラクルって何者?

ミスターミラクル(スコット・フリー)は、通常の時空を超えた領域に住む生命体ニューゴッドの一人。
緑あふれる穏やかな惑星ニュージェネシスを統治するハイファーザーの息子。

ニュージェネシスは、荒廃した悪夢のような惑星アポコリプスと対立関係。
惑星間で戦争が起きましたが、このままでは双方の惑星に甚大な被害が起きると危惧し、両惑星のトップが会談。
紛争を終わらせるため、お互いの子供を交換し(人質として)、休戦協定を結びます。

そうして、ハイファーザーの息子スコット・フリーは幼くして、アポコリプスを統治するダークサイドに引き取られることとなったのです。

スコットは恐怖と暴力の日々を過ごすことになります。
劣悪な環境で過ごすことで精神が崩壊しかけるものの、精神と体を切り離して考えることで拷問を乗り越え、問題解決の理性と技術を学び、ついにはアポコリプスからの逃亡に成功します。

地球にたどり着いたスコットは、ミスターミラクルと名乗るサーカスの脱出マジックの名人と出会います。
その名人が殺害された後、スコットはミスターミラクルの名を引き継ぎ、いかなる困難からも脱出できるヒーローとして活動を始めます。

パートナーはビッグバルダ。
ダークサイドを守る強力な戦士の一団フィーメール・フューリーズのトップを務めるほどの戦士でしたが、スコットと恋仲になり、一緒に地球へ逃亡しました。

ざっくりあらすじ

ダークサイドが反生命方程式を入手し、ハイファーザーの殺害に成功する。
ニュージェネシスとアポコリプスの紛争が再び始まる。

ニュージェネシスのトップに就任したのは、オライオン。
ダークサイドの息子であり、スコットと交換されハイファーザーに育てられた人物。

高圧的なオライオンの元で、ミスターミラクルとビッグバルダはアポコリプスとの戦いに巻き込まれていく。

その一方で、ミスターミラクルの脳裏には「Darkseid Is 」という言葉が頻繁に現れ、目の前の世界が歪んで見えるようになる。
ミスターミラクルは罠にかかっているのか。その罠から脱出できるのか。

感想(ネタバレあり)

難解なストーリー。
しかも、翻訳が乏しいニューゴッズのストーリーなので、DCコミックス初心者には勧めにくい作品ですね。

誰のどの認識が正しいのか。なぜ頻繁に世界が歪むのか。「Darkseid Is 」が何を指しているのか。
一読ではなかなか理解が追い付かず、考察読んだり、もう一度読み直したり。
そうした過程を幾度か繰り返して、深く味わえる作品だなあと思いました。

難解さを際立たせるアーティストの表現がたまらない作品でもあります。
ブラウン管テレビでの画像の乱れのような表現だったり、焦点の定まらない感じだったり、ほぼ全編に渡って1ページ9コマにしてたり、他のコミックスとは一線を画しています。

私は原書で読んだのですが、翻訳で読むとまた違った味わい、発見があるかもしれませんね。そのうち入手してみよう。