コミックス感想:差別思想と戦う『スーパーマン・クラッシュ・ザ・クラン』

スーパーマン・クラッシュ・ザ・クランとは

2019年~2020年にかけて全3話で連載されました。
主人公はスーパーマンで、敵となるのは白人至上主義団体クー・クラックス・クランがモデルの団体です。
メトロポリスに引っ越してきた中国人兄妹の冒険譚でもあります。

1946年にラジオドラマで放送された"Clan of the Fiery Cross"を下敷きに、青少年向けのジュブナイル作品に仕上げています。
本作の舞台も1946年となっています。

2020年ハーベイ賞 Best Children or Young Adult Book部門受賞し、2021年アイズナー賞Best Publication for Kids と Best Adaptation from Another Mediumの二部門を受賞しました。

ざっくりあらすじ

1946年、チャイナタウンからメトロポリスに引っ越してきた中国人家族。
差別に直面しながらも兄トミーはすぐに周囲に馴染んでいったが、妹ロベルタはなかなか輪に入れなかった。

ある日の夜、「燃える十字架のクラン」と呼ばれる白人至上主義の秘密結社が火炎瓶で中国人家族を襲撃する。
攻撃はエスカレートし、トミーが結社に誘拐されてしまう。

絶体絶命の大ピンチに表れたのは、メトロポリスを守るスーパーマンだった!

感想(ネタバレあり)

ジュブナイル物なので、ストーリーがわかりやすく読みやすいです。
作画のグリヒルは日本のイラストレーターユニットということもあり、アメコミの作画に慣れてない人でもすんなり飲み込める作画だと思います。

差別を扱う作品は多くあれど、それをジュブナイル物でやってのける辺りが一線を画しています。
日本の子供向けマンガや小説だと真正面から差別を描くのはあまりないかと思います。

スーパーマンの立場は、中国人家族と似たような状況にあります。
スーパーマンは宇宙人なので地球人からすれば異質であり、中国人家族は白人至上主義者からすれば異質だったのです。
スーパーマンは自分が宇宙人であるという出自に対して不安を持っています。そのため、宇宙人であることを世間に話していません。

本作の事件を経て、中国人家族は差別から解放されメトロポリスの人々に受け入れられます。
一方でスーパーマンは自身が宇宙人であることを受け入れ、世間に公表します。
スーパーマンにおいては本作の事件は差別主義者との戦いでもあり、自らを受け入れる試練でもあったのです。