コミックス感想:『Batman : Sword of Asrael』


Batman : Sword of Asrael』とは

Batman : Sword of Asraelは、1992年10月~1993年1月に連載されたミニシリーズです。
後のKnightfallにて重要な役目を果たすAsraelの初登場作品となります。

Asraelは聖デュマ騎士団が作り上げた戦士であり、本作はジャン=ポール・ヴァレーが殺された父親からAsraelを引き継ぎ、復讐していくお話。

ざっくりあらすじ

暗殺者アズラエルとして活動していたルドヴィック・ヴァレーは返り討ちに遭う。
死の間際、息子のジャン=ポール・ヴァレーに自身の正体を明かし、謎の指示を与える。

ジャン=ポールが父親の指示に従ってスイスに渡ると、待ち受けていたのは聖デュマ騎士団のノモズであった。
ジャン=ポールは生まれた頃から催眠術による訓練法ザ・システムで戦闘術を知らぬ間に身に付けており、ノモズによりその能力を開花させられ、アズラエルとして活動を始める。

一方、バットマンは捜査の過程で聖デュマ騎士団にたどり着き、アルフレッドと共にスイスへ向かう。

 

感想(ネタバレあり)

後にKnightfallにてベインに背骨を折られたブルース・ウェインに代わり、バットマンとして活動するアズラエル(ジャン=ポール・ヴァレー)の誕生譚です。

アズラエルは聖デュマ騎士団の洗脳されているため、危うさが漂うヒーロー。
危うい分、後には暴走したり、悩んだり、重圧に潰されそうになったりと、人間らしさの部分が描かれることが多いように思います。

本作は、ヴィランがまた特殊。
ジャン=ポールの父を撃った犯人LeHahは聖デュマ騎士団の元信徒。騎士団から金を奪って武器商人となったため、騎士団から狙われていました。
悪魔Biisの手下と信じており、さらにはBiisのスーツを作って着こむと自分自身をBiisと思い込んで格闘する変人。

アズラエルにしても、ヴィランのLehahにしても、自身の信念で動くというよりも行動原理を他者に強く依存しているという、アメコミとしては変わった対決のように思いました。

アズラエル中心ではあるものの、がっつりブルース・ウェインが絡んでいるのが意外。
ブルース捕まっちゃいますしね。
こうして後にバットマンを引き継ぐだけの関係性ができるのだなあと思ったり。

アズラエルの主な武器は、炎を宿したブレード。
派手な描写になるので全編カラーがほとんどのアメコミではより映えますね。
かっこいい。

 

コミックス感想:『バットマン・フー・ラフズ』


バットマン・フー・ラフズ』とは

バットマン・フー・ラフズは2018年12月~2019年7月にかけて連載されたリミテッドシリーズです。
翻訳版は2020年1月にリリースされています。

大型イベントのバットマンメタルにて、ジャスティスリーグを恐怖のどん底に陥れたダークナイツのリーダー格バットマン・フー・ラフズ。
邪悪な外見と言動で多くの人に衝撃を与えた彼をメインヴィランに据えて、本家バットマンとの対決を描いた作品です。

ざっくりあらすじ

ゴッサムシティで起こる殺人事件。
治安の悪い街では珍しいことではなかったが、殺されたのは別世界のブルース・ウェイン「達」だった。

犯人はバットマン・フー・ラフズ。
銃に魅了されたバットマン=グリムナイトを引き連れて、次々と別世界のブルース・ウェインを殺していく。

彼らを追うバットマンの前に現れたのはジョーカー。
ジョーカーは自らを銃で撃ち抜き、心臓に仕組んだウイルスをバットマンを感染させる。
バットマン・フー・ラフズに対抗できるのは、バットマン・フー・ラフズになるしかないと信じて。

バットマンは感染を抑えるものの、徐々にフー・ラフズ化していく。


感想(ネタバレあり)

バットマン・フー・ラフズという最凶最悪なヴィランに対して、バットマンとジョーカーが共闘する熱い展開。

それだけでなく、知的サイコパスヴィランであるジェームズ・ゴードン・ジュニアとも共闘することとなります。名前からわかる通り、ゴードン本部長の息子で、バットガール(バーバラ・ゴードン)の弟です。

巨悪と対峙するために自らの内部に巨悪を取り入れる決断をするバットマン
どんどんダークサイドに染まっていきます。
どこまで染まるのかが終盤まで続きますし、フー・ラフズの計画を頓挫させるために浄化システムの起動の可否もスリリングな展開になっており、最後までハラハラしっぱなしでございました。

不規則な行動を取るトリックスターであるジョーカー、バットマンもジョーカーも認めるほどの天才殺人鬼であるジェームズ・ゴードン・ジュニアの組み合わせもたまらないですね。直接的に組んでいるわけではないですが。
二人とも予測不能な行動を取るので、ストーリーに強い驚きを加えてくれます。

他のマルチバースから多数のブルース・ウェインが出てくるので複雑なように思えますが、本作はわりとSF的な複雑さはほとんど感じられないので、ストーリーを捉えやすいと思います。

それにしてもバットマン・フー・ラフズの見た目はやっぱり魅力的。
設定的に通常のストーリーにひょいと登場するのは難しいかもしれませんが、クロスオーバーイベントには頻繁に出てくるでしょうし、楽しみは続きますね。

コミックス感想:『Batman: No Man's Land』


Batman: No Man's Land』とは

Batman: No Man's Land』は、1999年1月~12月にかけて連載されたクロスオーバー差作品です。

舞台はゴッサムシティ。
しかしながら、アメリカ合衆国から切り離されて無法地帯となっています。

なぜ無法地帯となったのかをおさらいします。

ゴッサムシティをM7.6の直下型地震が襲い、壊滅状態
犯罪都市ゴッサムシティを米国から切り離したい政治家が行動開始

公聴会でブルースが熱弁するも、ゴッサム隔離政策決行
ゴッサムと本土をつなぐ橋を破壊

こうしてゴッサムシティは無法地帯となりました。
映画『ダークナイトライジング』の構想の元ネタともなっています。

無法地帯となり大手を振って表舞台に出てきたヴィラン達。
ゴッサムシティはヴィランや警察が自身が管轄する区域を奪い合う陣取り合戦の様相を帯びてきます。

ざっくりあらすじ

米国から切り離されて無法地帯となったゴッサムシティ。
ジョーカー、トゥーフェイス、ペンギン、キラークロックなどヴィラン達が堂々と表舞台に出てきて、ゴッサムを支配していく。

ゴッサム市警も黙ってはいない。
自らをブルーボーイズと名付け、市民を守るため管理区域を広げていく。

バットマンは数か月姿を見せていない。
その代わり、オラクルではない謎の人物がバットガールのコスチュームを着て、ギャングを倒し治安を守っていた。

荒廃したゴッサムの行く末は如何に。


感想(ネタバレあり)

全4巻で2,000ページ以上の大作なので、なかなかあらすじも難しいものですね。

アメコミのクロスオーバー作品だけあって、様々な人物を主人公にして多角的に事件を描いており、これまた一口で語ることが難しい要因となっています。

重厚なストーリーであり、なかなか結末も見えづらいワクワク感の強い作品でした。
有名無名のヴィランが次々と出てきますし、バットファミリー側も大いに活躍します。

印象に強く残ったのは、レニー・モントーヤレスリー・トンプキンスでした。

レニーはGCPDですがトゥーフェイスと強い連携を結ぶ形となります。ノーマンズランドがなければ結びつくことのなかった二人であるだけにかなり印象に残りました。

レスリーバットマンの正体も知っている医師ですが、ノーマンズランドでは懸命に医療を提供し続けます。アズラエルとのやり取りが多いのも印象的ですが、ツァスツと対峙するエピソードにてレスリーの覚悟が描かれます。かっこよかったですわ。

そのほか、カサンドラ・カインの初登場作品でもあります。
暗殺者デビッド・カインとレディ・シバの娘である彼女は卓越した格闘術を身に付けており、本作でも大活躍します。

大雑把な結末を言えば、ゴッサムシティがアメリカ合衆国に復帰してめでたしめでたしなのですが、そう簡単に終わらせないのがジョーカーという存在。
作品中盤まではそれほど目立たないのですが、終盤には一気に悲劇を作り上げます。ジョーカーの恐ろしさを改めて思い知らされるエピソードでした。

主要キャラクターはもちろんマイナーキャラも多数出演するし、重厚なストーリーで満足度も高い。素晴らしい作品だと思います。バットマンを読みたい人にはぜひおすすめしたいです。

しかしながら、入手が困難。
願わくば翻訳版を復刊させてほしいですが難しいでしょう。
プレ値が付いており、アマゾンで4巻揃えると3万円以上かかるかもしれません。

私自身はしばらく値が下がるのを待っていましたが、結局我慢できず原書で購入して読みました。
できるなら翻訳版で読みたいのですが、あんまりお金ないし電子辞書片手に頑張って英語読みました。


せめて電子書籍で翻訳版とか出してくれたらいいのになあ。

コミックス感想:『Batman : Kings of Fear』


Batman : Kings of Fear』とは

Batman : Kings of Fear』は、2018年10月~2019年3月にかけて連載されたリミテッドシリーズです。

 

メインヴィランは、幻覚ガスによって人々に恐怖を味わわせるスケアクロウです。

ざっくりあらすじ

バットマンは捕まえたジョーカーをアーカムアサイラムへ移送する。
到着すると、ヴィラン達が監房から抜け出したことが判明。
ヴィラン達を倒し再び収監することに成功したが、スケアクロウアーカムアサイラムの外へ脱走していた。

追いかけるバットマン
バットモービルに乗ろうとしたその時、待ち伏せていたスケアクロウが幻覚ガスを散布。
バットマンは断続的に恐怖の幻覚に襲われる。

バットマンは恐怖を乗り越えられるか。

 

感想(ネタバレあり)

バットマンに幻覚を見せながら、ねちねちと追い詰めるスケアクロウ

バットマンがいるからゴッサム犯罪都市になっているのではないか。
バットマンがいなければゴッサムはもっと繫栄していたし、ヴィラン達は悪に染まることもなく真っ当な人生を過ごせていたはず。

ヒーローがヴィランを引き寄せているのではないかといったテーマはそれほど珍しくはないです。
しかしながら、スケアクロウが幻覚を見せながらのバットマンを追い詰めていく様は見物でした。

毒々しさのある黄緑色や夕焼けのような赤色を頻繁に使っており、他の作品とは違った雰囲気がよく出ています。

恐怖を乗り越えるバットマンですが、ゴッサムへの執着は他のヒーローよりも異常なまでに強いと思わせるところもあり、幻覚がなくてもナチュラルに狂気の中にいる感じがしました。

コミックス感想:『Cyborg vol.1-2(New52)』


『Cyborg vol.1-2(New52)』とは

New52においてJustice Leagueのメインキャラクターの一人となったサイボーグ。
しばらくJustice Leagueでの活躍が描かれましたが、2015年9月〜2016年8月にかけて単独誌で連載されました。

 

vol.1-2の二冊で該当期間の連載がすべて収録されています。

オリジンから描かれているわけではなく、最初からヒーローとしてバリバリ活躍します。

 

ざっくりあらすじ

敵と対峙するジャスティスリーグ
突如、鋼鉄のアーマーに包まれた謎の人物たちが現れ、サイボーグを襲い始める。
抵抗虚しくサイボーグは巨大な剣で貫かれ、機能を停止してします。
死を迎えたはずだったが、サイボーグも知らない謎の機能により瞬く間に復活を遂げる。

謎が解決しないまま、地球はテクノサピエンスの侵略に遭う。
テクノサピエンスのウイルスに感染した人間はロボット化し操られてしまう。
テクノサピエンスとの戦いの最中、サイボーグを殺した謎の集団が再び姿を現す。

彼らは一体何者なのか。
地球を席巻するテクノサピエンスをどう止めるのか。

感想(ネタバレあり)

サイボーグのメカニカルな描写を楽しめる作品です。
メインのヴィランとなるテクノサピエンスも機械とクリーチャー半々の見た目で、特異なビジュアルを楽しめます。

ストーリーは平行世界あり、ヴァーチャル空間ありと幅広い。
テクノサピエンスとの戦いや、その後の政府を利用したテクノサピエンスとの残党との戦いは一貫性もあり、周囲の人々との関係性もちゃんと描いて、練ったプロットって感じがします。
vol.2の終盤当たりは、打ち切りが決まった後の間に合わせのストーリーかなと思います。

サイボーグのアップデートやアクションは見応えあったし、亡くなったはずの母親との邂逅や父親とのつながりの心理的な面を読めてよかったです。

コミックス感想:『Batman and Robin: Dark Knight vs. White Knight』

 

Batman and Robin: Dark Knight vs. White Knightとは

2011年1月~9月まで連載された作品で、Batman and Robin #17-25を収録しています。

 

以下の3つのストーリーを収録
The Sum of Her Parts
Dark Knight vs. White Knight, Tree of Blood
The Streets Run Red

 

この時のバットマンブルース・ウェインではなく、ディック・グレイソンです。

ざっくりあらすじ

The Sum of Her Parts

ブルース・ウェインの元カノであるウナ・ネモは、ヨットの上で強盗に撃たれて亡くなった。湖に落ちた彼女の死体は数週間後に発見され埋葬されたのだが、その死体が忽然と姿を消した。
やがて死体が見つかったが、ネモの死体ではなく、さらには左手の薬指が無くなっていた。
彼女の死体が消えた理由は?

 

Dark Knight vs. White Knight, Tree of Blood

空から天使の恰好をした死体が降ってくる。
死体の顔や指紋など個人を特定する部位が消されており死体の身元特定は困難だったが、落ちてきたと思われる場所を捜索すると遺書がみつかった。
まさにその時、バットマンとロビンを正気を失ったマンバットが襲う。
さらに真っ白なコウモリがマンバットを襲い、バットマン達は事なきを得る。
真っ白なコウモリの正体とは。
続く天使の格好をした自殺志願者たちの墜落の真相とは。

 

The Streets Run Red

アーカムアサイラムからゴッサムの矯正施設に移送されたジェイソン・トッド
ジェイソンが矯正施設に来てから自殺者、殺人が続出。さらには食事に入れられた毒により82人もの囚人が死亡し、100名以上が不調を訴える事態に発展する。
あまりの危険性に再びアーカムアサイラムに戻されるジェイソン。その途上で、移送車が襲撃される、ジェイソンを解放することを目的とした謎の集団によって。

 

感想(ネタバレあり)

バットマン(ディック)&ロビン(ダミアン)のコンビ。
翻訳されているバットマン&ロビンの続きですが、特につながりはなく単独でも読めます。

バットマン&ロビンと本作で、ディック&ダミアン期はほぼ全部読めたことになります。(♯26はどっかに収録されているんだろうか?)

ショートストーリー三作になりますが、こうした本は翻訳されづらいですね。
ただこういうショートストーリーに変わったヴィランが出てきているので面白かったりします。

本作では、頭にすっぽりと穴が開いたブルースの元カノが出てきたり、ゴッサムの悪を身勝手に粛清しようとする全身ぴかぴかで真っ白なホワイトナイトが出てきたりして、てんやわんやになります。
かなり濃いヴィランだとは思いますが、それでもなかなか古参ヴィランの間に割って入ることは難しくスポット参戦となってしまいますね。

 

ジェイソン(レッドフード)の大暴れも見逃せません。
ダークヒーロー感の強い暴虐振りが見れるのは良いですね。
それでいてスカーレットが絡むと熱血漢な一面が見え隠れするのも面白いところ。
続編がないのでジェイソンとスカーレットの話はもう読めないのだろうけど、このデュオの活躍も気になるところです。


 

 

コミックス感想:『Superman : Earth One vol.3』

Superman : Earth One vol.3とは

『Superman : Earth One vol.3』は、DCコミックスのスーパーヒーローを現代風にリメイクしたEarth Oneシリーズ、スーパーマンの三作目です。


2015年4月に出版された作品。
これで完結したわけではないのですが、2022年7月時点では、続きは出版されていません。

Earth Oneシリーズは出版のスパンが長いので、打ち切りになったわけではないと思われます。
バットマンはvol.2(2015年)とvol.3(2021年)が6年空いています。

続刊されるといいですね。

 

ざっくりあらすじ

世界を救うスーパーマンだが、国連は彼のあまりの強さに懸念を示す。
国連の懸念を受けて、アレクサンダー・ルーサー博士とアレクサンドラの夫妻はスーパーマンの映像を分析し、赤い太陽光線に弱いことを明らかにし、スーパーマンを止めることを画策する。

一方、地球外からやってきた船が砂漠に着陸した。
中から現れた人物は太陽の光を受けて強烈なパワーを発揮し始める。
彼の名前はゾッド=エル。

スーパーマンと邂逅したゾッドは実の叔父であることを打ち明け、スーパーマンと親交を深めていくのだが。。。

 

 

感想(ネタバレあり)

ルーサーとゾッド。

スーパーマンヴィランとして有名な二人を今作ではフィーチャーしています。

ゾッドの設定は従来とそれほど変わりなく、凶悪なヴィランです。

クリプトン人同士なだけあって、スーパーマンとの迫力あるアクションシーンが楽しめます。

 

ルーサーは大きな違いがありました。

夫妻として行動しており、スーパーマンへの懸念を受けて、対スーパーマン向けの兵器を開発しました。スーパーマンに兵器を使い弱体化させ、国連と共謀したゾッドをアシストします。
しかしながら、良心の呵責に駆られたルーサーは現場へ駆けつけ、ゾッドに兵器を使用してスーパーマンの窮地を救います。その際に致命傷を受け亡くなってしまいます。


本作のラストでは、アレクサンダー・ルーサーの妻アレクサンドラはスーパーマンを逆恨み。夫を遺体を仮死状態で保存し、また、ゾッドの船からクリプトナイトを取り出すところが描かれています。

 

ヴィランとの戦いもさることながら、隣人のリサとの関係も進展。
ひょんなことからクラークがスーパーマンであることがバレてしまったり、ゾッドにやられるスーパーマンを助けにリサが駆け付けたり、愛の告白があったり。
従来と全然違う展開になっており、こちらも見逃せません。

 

早くvol.4出てほしい。